床矯正について
歯並びが悪くなる原因は遺伝的な要因もありますが、ほとんどは顎の成長の不足により起こります。顎の成長は8割が6才までに行われます。そして10才から2回目の成長スパートが始まり、男子は17才、女子は14才ぐらいで成長は終わります。床矯正は患者さんの年齢に合った顎の成長に追いつくことが治療だと考えています。
床矯正は患者さんが、どれだけがんばって長い時間装置を入れてネジを巻くかで治療の進み度合いが変わってきます。しっかり、がんばれば早く治療が進みますし、あまりがんばらないとなかなか治療は進みません。まさに主役は患者さんです。したがって、いつまでに治療が終わりますということは言えませんので目標を立ててがんばってもらいます。
①4~5才から始めた子
6才までに治療を終えて成長が追いつくのが目標です。
②6~9才から始めた子
10才までに治療を終えているのが目標です。10才は2回目の成長スパートが始まる時期でもあり、上顎の犬歯が生える時期でもあります。この時期までに治れば比較的簡単に治ります。遅くても小学校の間に終われる事を目標にしましょう。
③男子10~17才 女子10~14才から始めた子
成長が終わる14才(女子)、17才(男子)までに治療を完了し、成長を追いつきましょう。成長の期間が減っていきますので、出来るだけ早く治すことが目標です。この時期に始めた場合は固定式装置(ブラケット)を使うケースが多くなります。その場合の治療の目安は2~3年です。
④男子17才 女子14才から始めた子
成長はすでに終わっています。受験などで忙しくなる前に治療が終われるように目標を建てます。床矯正だけでの治療は困難で、この時期に始めた場合は固定式装置(ブラケット)を使うケースがほとんどです。必要であれば便宜的に抜歯を行うこともあります。その場合の治療の目安は2~3年です。
床矯正は早期に治してしまえば、治療期間は短くなりますし、使う装置の数も少なくてすみます。装置の数が少なくてすむということは、治療費も少なくてすみます。ケースにもよりますが、一般的には犬歯が生える前9~10才までに治療を終えた子は1~4個の装置で治療が可能です。10才以降での治療が必要な子は4~6個の装置が必要になり、その後はブラケット治療が必要になることがあります。
どんなに装置が多く必要なケースでも費用が80万~100万円もかかることはありません。出来るだけ早い時期に治療を終了できるようにし、少ない数の装置で治りましょう。そのためには口腔機能を高めることが大切です。口腔機能を高めることで装置による治療を少なくすることが可能です。
矯正治療には2種類あります
①生物学的機能療法(バイオセラピー)
歯並びが悪くなった原因を解決する治療です。
顎が成長する為には発育する刺激が必要であり食事の内容を変えることが必要になります。また、指しゃぶりや頬杖などの悪習慣の改善や口腔周囲筋肉の訓練も必要になります。
②メカニカルな治療
床矯正装置や固定式装置(ブラケット)での治療です。
これらは補助的な治療であり、メインの治療は生物学的機能療法です。
床矯正の料金
矯正検査料 | 31,500円 | 模型写真撮影(口腔内・顔貌・全身)、レントゲン写真、食事指導、筋機能訓練など |
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床装置 (ネジあり) |
63,000円 | 平行拡大・ファンタイプ・前方移動・後方移動など1装置 同一装置新制更新31,500円 |
床装置 (ネジなし) |
31,500円 | 閉鎖型・舌癖除去装置・咬合斜面板など1装置 |
固定式治療 (ブラケット治療) |
片顎 63,000円~ |
咬合育成(こうごういくせい)とは
咬合育成とは、子供の歯(乳歯)から大人の歯(永久歯)までの成長過程で、正常な歯並び・噛み合わせを妨げる因子を早期に発見し、対応することで正常な歯並び・噛み合わせにするための治療です。咬合誘導とも呼ばれるこの予防的な矯正治療は、すべての年代に行えるということではなく、歯並びが完成する前の限られた時期にのみ行うことのできるため、当院では早期からの積極的な予防のための介入を行っております。
予防のための矯正歯科
西田歯科では、0歳児からの咬合育成に力を入れております。成人の場合矯正治療とは、「悪くなった歯並び・噛み合わせを治すため」に行われるものです。
一方で咬合育成は、予防矯正とも呼ばれ、「歯並び・噛み合わせが悪くならないようにするため」に行われます。悪くなった歯並びを治すことももちろん重要ですが、虫歯と同様に歯並びが悪くならないようにすることも非常に重要なことだと考えます。
年齢によって治療法が変わる?
Ⅰ期治療
Ⅰ期治療は、乳歯~混合歯列期(乳歯と永久歯が混合している時期)に適応される治療です。顎の発達を利用したり、正しい歯並び・噛み合わせに介入できるのは、この時期に限られます。ただし、「Ⅰ期治療を行えばⅡ期治療を行わなくてもよい」という事ではありません。
もちろんⅠ期治療のみで済むケースもありますが、どうしても成長過程で歯並びや噛み合わせの治療が必要になることもあります。ただ、「Ⅰ期治療を行うことでⅡ期治療が楽になる」「歯を抜く可能性が低くなる」という事もありますので、幼少期からの予防的なアプローチはとても有意なものだといえます。
Ⅱ期治療
大人の歯が生え揃う、永久歯列が完成した12歳以降に適用されるのがⅡ期治療です。Ⅱ期治療では、顎への積極的なアプローチや予防的な治療が難しいため、成人と同じような方法で治療を行っていきます。当院の成人矯正について、詳しくはこちらをご覧下さい。
※当院でのⅡ期矯正治療が困難な場合、他医療機関をご紹介させていただく場合がございます。
歯列不正の様々な原因
歯並びや噛み合わせが悪くなる原因には、遺伝など先天的なものもありますが、日常的な癖・顎の成長不足が原因であることも少なくありません。歯は、およそ数十gの力が継続的に加われば、動いてしまうといわれています。一方で、私たちの舌や唇、頬の力は100g~500gの力が出るといわれています。つまり、日常的に舌や頬などで不要な力を歯に与えてしまうと、歯は簡単に動いてしまうという事です。
当院では、歯並び及び噛み合わせが悪くならないような環境を作るため、幼少期からの予防矯正である咬合育成を推奨しております。以下のような癖や習慣がある場合には、すべてのお子様がそうなるわけではありませんが、歯並びが悪くなるリスクが生じてしまいます。ご心配な方はまずは一度お気軽にご相談ください。
指しゃぶり
指しゃぶりは幼少期においては特に問題ありませんが、5歳頃を過ぎても頻繁に行っている場合、歯並びや噛み合わせに影響がでてしまうことがあります。また、指しゃぶりだけでなく爪を噛む癖も同様に歯並びに影響を与えるとされています。
<リスク>
- 上下の出っ歯
- 前歯で噛めない(開咬)
- 顎の骨が狭くなり、歯並びが悪くなる
唇を咬む
主に上の前歯で下唇を咬んで、内側に巻き込む癖です。また、下の歯で唇を咬むケースもあります。
<リスク>
- 上下の出っ歯
- 前歯で噛めない(開咬)
- 唇や周囲皮膚が荒れる
頬杖をつく
たまにに頬杖をつく場合には大きな影響はありませんが、日常的に多く行われている場合には、顎への影響が懸念されます。
<リスク>
- 顎関節の痛み
舌で歯を押す
舌で歯を押す舌突出癖(ぜつとっしゅつへき)、また、舌を頻繁に動かす弄舌癖(ろうぜつへき)は、成人の方でも無意識に行っていることの多い癖です。指しゃぶりや口呼吸に比べて気づかれることが少ないため、癖が治らないまま成長してしまうことも少なくありません。
<リスク>
- 上下の出っ歯
- 前歯で噛めない(開咬)
口が開いている(口呼吸)
口呼吸は虫歯や歯肉炎のリスクを上昇させるだけでなく、歯並びや顔貌にも大きく影響を与えます。
<リスク>
- 上の出っ歯
- 前歯で噛めない(開咬)
- アデノイド顔貌(出っ歯、顎が後退する)
このような癖で歯並びが悪くなるのは子供だけではありません。大人になっても歯にとって悪い癖があると、例え矯正治療を終えて綺麗な歯並びになったとしても、次第に歯が動いてしまうのです。大人になってから急に癖を治すよりも、幼少期から改善すると癖が身について継続しやすくなりますので、早めの改善が望ましいといえます。
小児矯正治療で使用する装置
床矯正(拡大床)
当院では主に拡大床を用いた「床矯正」を行っております。拡大床は、顎の成長を利用して歯が生えるスペースを確保し、スペース不足からの歯列不正を予防するために使用されます。拡大床だけでは改善が難しいケースには、通常のワイヤーを使用した矯正治療を行う場合もありますので、詳しくは一度ご相談下さい。
口腔習癖除去装置
口腔習癖除去装置とは、舌の悪い癖を排除したりして、歯並び・噛み合わせが正常になるように導いていく装置です。上記に挙げた口腔習癖は、急に改善することは非常に難しいとされています。そのため、物理的にその癖ができないようこのような装置を使用することもございます。
咬合斜面板
主に前歯が前に出ていたり(出っ歯)、噛み合わせが深い(過蓋咬合)ケースで使用します。装置に付与された斜面板が、「噛み合わせが正常な深さになる」、「劣成長気味の下顎が前方に成長する」ように設計されています。