西田歯科では、嫌がっているお子様に対し、押さえつける等の無理やりな治療を行うことはいたしません。幼少期に歯科医院でトラウマが生まれ、負のイメージを抱いてしまうと、大人になってからも歯科医院から足が遠のく傾向にあります。つまり、症状があっても受診を避け、虫歯や歯周病が重度にならないと歯科医院に訪れなくなりやすいということです。
そのため、当院では歯科医院に慣れていないお子様には、治療ができるまで優しくトレーニングを行います。徐々に慣らしていくことで抵抗感も薄れ、歯科医院へのイメージをマイナスなものにしないようにするといった考え方からです。
このような取り組みから、当院ではお子様ひとりひとり治療期間が異なります。数回で終える場合でも、数十回かけて終える場合でも、できるようになってからペースに合わせて治療・処置を進めていきます。
当院での予防処置
当院ではお子様の歯を守るため、虫歯の予防処置に力を入れております。「虫歯になってから嫌々来院する」のではなく、「虫歯にならないよう楽しく来院できるようにする」という考えからです。この処置もお子様のペースに合わせて行いますので、歯科医院が初めてという方でも安心して来院ください。
シーラント(小窩裂溝填塞)
小窩裂溝(しょうかれっこう)とは奥歯の咬む面に存在する、細かい溝の事をいいます。この小窩裂溝は深く複雑な形態をしているため、歯ブラシで完璧に磨くという事はほぼ不可能であり、特にお子様の場合は虫歯の発症率が非常に高い部位です。「シーラント」は、歯を削らずに樹脂のプラスチックでこの溝を封鎖して、虫歯の発症を防ぐという予防処置になります。
溝に沿って薄く塞いでいくため、咬み合わせには影響を与えません。ただし、シーラントをしたからと言って虫歯にならないという事ではありません。また、普段の食事などで外れてしまう事もあります。そのため、シーラントが外れていないか、お口の状態を確認する為に、処置後も定期的な受診をおすすめいたします。
フッ素塗布
歯科医院でのフッ素塗布は、最もポピュラーな虫歯予防処置です。ご自宅で使用している歯磨き粉に含まれているフッ素と、歯科医院で塗布するフッ素の大きな違いは、「濃度の高さ」です。市販の歯磨き粉に含まれているフッ素は500~1450ppmと濃度が低いため、毎日の歯磨きに用いる事が推奨されています。一方歯科医院で塗布するフッ素は9000ppmと高濃度であるため、期間を空けて定期的に使用する事が望ましいとされています。
特に生えたばかりの歯はフッ素を取り込みやすいため、お子様には定期的な塗布が推奨されています。ただし、シーラントと同様に、フッ素を塗布したからと言って虫歯にならないという事ではありませんので、普段の歯磨きをしっかりと行うことが第一です。
歯磨き指導
虫歯予防だけでなく、歯周病などの歯の疾患を防ぐための最も有効な予防方法は、「毎日の適切な歯磨き」です。小さい頃から行っている習慣は、大人になってからも続く傾向が高いといわれています。幼少期から正しい歯磨きの習慣、知識や方法を身に付けることで、大人になってお子様が保護者の方の手から離れたときも、自身の力で歯を守れる可能性が高くなります。お子様の歯を生涯にわたり守っていくためにも、この歯磨き指導は予防処置の中でも非常に重要な処置内容となります。
また、仕上げ磨きが必要な場合には、保護者の方にご協力をお願いしております。「磨きにくい場所がある」「子供が歯ブラシを嫌がる」などのお悩みがある時には、お気軽にご相談ください。
フッ素の効果
虫歯になりかけた歯を修復(再石灰化)する
歯は、飲食の度に酸によって溶けてしまう「脱灰」という現象が起こります。ただし、脱灰によって溶けた歯は溶けたままというわけではなく、溶けた成分を元に戻す「再石灰化」という現象によって歯が修復されます。フッ素には、この再石灰化を促進する働きがあります。
歯を強くする
歯の表面はエナメル質という硬い組織ですが、本来は虫歯菌の出す酸に弱いという特徴があります。しかし、フッ素を使用する事により、このエナメル質が強化され、酸に溶けにくい性質になります。
虫歯の原因菌を弱らせる
フッ素には、細菌の活動を抑制して弱らせるという作用があります。このことから、フッ素がお口の中に存在する事によって、虫歯の原因菌が酸を出しにくくなり、虫歯予防へと繋がるのです。
小児歯科についてよくある質問
子供に大人用の歯磨き粉を使用しても問題ありませんか?
年齢によって推奨されるフッ素濃度が異なりますので、お子様用の歯磨き粉の使用をお願い致します。
フッ素は急性中毒量とされる摂取量の値が高いため、誤飲による急性中毒が起こることは稀ではありますが、うがいがしっかりとできない年齢の場合には、特に注意が必要になります。歯の生え変わりやお口の状態にもよりますが、フッ素配合の歯磨き粉の使用量、濃度については以下が推奨されています。(日本口腔衛生学会フッ化物応用委員会編 フッ化物応用の科学第2版より)
- 歯が生える6カ月頃~2歳…500ppm(切った爪程度の少量)
- 3歳~5歳…500ppm(5mm以下)
- 6歳~14歳…1000ppm(1㎝程度)
- 15歳以上…1000~1500ppm(2㎝程度)
他の子よりも歯が生えるのが遅いです、異常でしょうか?
歯の生え変わりには個人差がありますので、あまり心配せずに待ちましょう。
また、元から歯が存在しない「先天性欠損」などもあるため、生え変わりの年齢についてはあくまで目安として捉えていただき、奥歯がいつまでたっても生えてこないときなどは、一度ご相談ください。
指しゃぶりの癖があります、辞めさせたほうがよいですか?
3、4歳までは指しゃぶりをしていても、徐々に頻度が少なくなり自然に消失する傾向がありますので、経過観察でよいとされています。
ただし、5歳を過ぎても辞めない場合には、「歯並び・咬み合わせ・発音」等に影響が出る可能性が高くなり、指導が必要になることが多くなります。無理に辞めさせることで程度が悪化する事もありますので、専門家による介入が推奨されます。