歯周病とは?
歯周病は、日本では歯を失う理由として最も多い歯科疾患です。(平成30年永久歯の抜歯原因より/公益財団法人 8020推進財団)しかし、本来歯の寿命とは、「歯周病や虫歯が進行したから歯を抜くこと」ではなく、「長い年月使用する事で歯が折れたり割れたりして抜歯すること」なのです。実際メインテナンス率が非常に高い予防歯科の先進国、スウェーデンでは、抜歯の原因はこの破折が一番多いと言われています。
(Axelsson P, Nystrom B, Lindhe J. The long-term effect of a plaque control program on tooth mortality, caries and periodontal disease in adults. Results after 30 years of maintenance. J Clin Periodontol. 2004 Sep;31(9):749-57. doi: 10.1111/j.1600-051X.2004.00563.x. PMID: 15312097.)
細菌感染によって歯の周囲組織に炎症が起こり、進行すると歯の土台である骨が溶けてしまう歯周病は、虫歯と同様に早期に治療すればその分歯を抜かずに治療ができる可能性が高まり、治療期間も短く済みます。歯周病について気になることがあれば、一度お気軽に当院までご相談ください。
歯周病の原因
歯周病の一番の原因は、「磨き残しによるプラーク(歯垢)の停滞」です。プラークは細菌の集合体であり、歯と歯ぐきの境目の清掃が不十分な状態が続くと、境目である歯周ポケットに住処を作ってさらに深くへと入り込もうとしていきます。歯ぐきが下がったり、土台の骨が溶けてしまったりするのは、この時に細菌が炎症を起こすためです。歯周病の原因としてはほかにも、「持病」や「喫煙」、「歯並び」などが関わってくることも多くあります。
こんな症状ありませんか?
歯周病は自覚症状が少ないといわれていますが、ご自身でも確認できる症状がいくつか存在します。
- 歯ぐきが赤く腫れている
- 歯磨きのたびに出血がある
- 歯が浮いてるような違和感がある、歯がぐらぐらする
- 歯ぐきが以前より下がり、歯が長く見える
- 今までになかった口臭がでてきた
上記すべての症状が歯周病であるという事ではありません。しかし、「少しでも違和感がある」「以前はなかった症状がでてきた」といった場合には、早めに受診することをおすすめいたします。歯周病の早期発見・早期治療に繋がるかもしれません。
※喫煙されている方は、出血や歯ぐきの腫れといった症状が現れにくいため、症状が何も出ていない場合でも、歯科医院での定期的なチェックが推奨されます。
歯周治療について
歯周病は重度になると炎症が骨にまで及び、自然に治ることはありません。また、「歯磨きを頑張れば治る」「歯槽膿漏用の歯磨き粉を使えば治る」という事はないため、必ず歯科医院での処置が必要となります。ここからは、当院で行っている歯周病治療についてご紹介いたします。
位相差顕微鏡
西田歯科では、必要な方に対し位相差顕微鏡による細菌の検査を行っております。この検査では、患者さんのお口に存在する細菌を実際にご覧いただくことができます。これは患者さんご自身のモチベーションを高めるだけでなく、どの細菌が多いかを把握することによって、歯周病治療においてより効率のよいアプローチにも役立ちます。
※位相差顕微鏡による検査は、費用はいただいておりません。
SRP(歯ぐきの中のプラーク・歯石とり)
歯周病の基本治療では、主に最近の住処である「歯周ポケット(歯と歯ぐきの溝)」のプラーク(歯垢)・歯石取りを行います。この歯周ポケットの中の汚れは、歯ブラシでは除去することができません。
そのため、専用の器具を用い、プロの手で歯周病進行のカギを握る歯周病ポケット内を綺麗にする必要があります。
セルフケア(歯磨き)の指導
ご自宅で行う歯磨きは、歯周病治療の行方を大きく左右するといっても過言ではありません。いくら歯科医院で歯周治療を受けても、セルフケアが不十分であれば歯周病の完治は難しいでしょう。
そのため当院では、歯ブラシや歯間ブラシ等のセルフケアの指導を重点的に行っております。磨き方はもちろん、歯ブラシ及び歯間ブラシのサイズについてもアドバイスしておりますので、疑問点等があればお気軽にお尋ねください。
歯周内科治療
歯周内科治療とは、歯周病が菌を主体とする感染症であるという考え方から、「基本治療等の物理的な外部からのアプローチだけでなく、薬剤等を用いた内科的なアプローチを行う」という新しい治療法です。当院では以下の薬等を用い、歯周病治療を行っております。
ジスロマック
当院の歯周内科治療で服用していただくお薬は、「ジスロマック」と呼ばれる抗生物質です。副作用が少ないながらも、歯周病菌に対して強い抗菌力を保有しているという特徴がある安全性と効果の高い薬です。
ペリオバスターN
ペリオバスターNは、細菌の量や質をコントロールする働きを持つ歯磨き剤です。ペリオバスターNには細菌の活動を抑制するという効果があり、また、天然成分を使用しているため安心してお使いいただくことができます。
ホームケア用品
歯周内科治療の一環として、ホームケア製品を取り扱っております。
POICウォーター
POICウォーターとは、口の中の菌を除菌することを目的とした洗口液です。プラークを分解、細菌を除菌することで、歯周病や虫歯のリスクが軽減されます。また、薬品を使用していないため、安全性が高いことも特徴です。
オーラループ
オーラループは、歯ぐきの状態を改善、細菌を抑制させる効果をもつ歯みがき剤です。オーラループの主成分である「ポリリン酸」は、もともと私たちの体の中に存在する成分であることから、安心して使用していただくことができます。このポリリン酸は、組織(歯ぐき)の再生、抗菌作用による細菌の抑制などの働きを持っています。
健康で美しい歯はBプラスで
Bプラスは「コーラルアパタイト」を主成分とした、着色の除去・虫歯の予防効果が期待できる歯磨き粉です。このコーラルアパタイトは、歯や骨と同様の成分であるため、歯の質を強化する働きがあります。また、配合されているタマネギ根エキスが、虫歯菌に対して抗菌作用を発揮するため、虫歯予防にもお使いいただけます。こちらも天然由来成分が多く配合されていることから、安心して使用できます。
- 化石サンゴの力で、歯垢や着色を吸着除去
- 70種類のミネラルを吸収することで、歯質強化
- 抗菌、防菌、消臭効果も
- 毎日使うことで、ホワイトニング効果も
- 子供用「Bプラスkids」オレンジ味もあります
- 合成界面活性剤、湿潤剤、合成甘味料、防腐剤は不使用
外科治療・再生治療
外科治療・再生治療とは、「歯石や細菌を確実に排除する」、また、「歯周病によって破壊された歯周組織を再生させる」ための外科的な治療です。歯周病治療を行う方全員に行うわけではなく、適応される患者さんに対してのみ治療を行います。また、術中は麻酔を使用するため、痛みは殆ど感じません。
再生治療では、主に2つの薬剤を使い分けて処置を行っております。
リグロス
歯周病によって破壊された歯を支える骨や、周囲の組織は、そのままでは自然に再生することはありません。「リグロス」は、そのような破壊された歯周組織の周囲にある細胞を活性化させて増やし、組織を再生へと導きます。
ぐらぐらになってしまった歯は、保存が難しい場合には歯を抜く必要がありますが、この再生治療を行うことにより、抜歯を防げるといったケースもあります。リグロスを使用した再生治療は、保険適用となります。
※リグロスの持つ「細胞を活性化させる」という効果は、がん細胞も含まれています。そのため、口腔がんの既往歴がある方には適応されません。
エムドゲイン
「エムドゲイン」はリグロスと同様に、破壊された歯周組織を再生させる効果を持ちます。リグロスとの違いは
- 保険適用されないため、自費となる(保険適用外)
- リグロスよりも治療実績が長い
- 豚の歯胚組織が主成分
等です。西田歯科では、症例やご希望により、薬剤を使い分けております。
メインテナンス(定期健診)の重要性
歯周病はメインテナンスが重要な歯科疾患です。治療期間中に症状が改善しても、セルフケアを怠るなどで再発しやすく、完治が難しい疾患といわれています。
メインテナンスを受けないと再発率が高くなる?
「普段しっかり歯ブラシしてるからメインテナンスには行かなくても大丈夫」そう思ってはいませんか?しかし、身体と同じように、健康に気を付けていても疾病を完全に防ぐことはできません。実際に6年間にわたり、歯周外科治療を受けた患者さんが、定期的なメインテナンスを実施しない場合を調査した研究があります。
(Axelsson P, Lindhe J. The significance of maintenance care in the treatment of periodontal disease. J Clin Periodontol. 1981 Aug;8(4):281-94. doi: 10.1111/j.1600-051x.1981.tb02039.x. PMID: 6947992.)
2~3か月の間隔でメインテナンスを実施したグループと、メインテナンスを実施しなかったグループを比較すると、再発率に大きな差が生まれたことから、「メインテナンスを受けないケースでは歯周病の再発率が非常に高くなる」という事が分かりました。
患者さんのご協力が必要です
歯周病の治療、治療後の状態を維持するためには、私たち歯科医院の力だけでは達成できません。治療中も治療後も、メインテナンスやセルフケア等患者さんのご協力が必要です。歯周病は進行するほど、治療に時間や痛み、費用がかかります。
西田歯科では、歯周病による歯の喪失を防ぎ、患者さんの歯を守るため尽力いたしますので、セルフケアや定期検診へのご協力をよろしくお願いいたします。